
脂肪腫とは

脂肪腫は、皮下に生じる良性の脂肪細胞の腫瘍で、ゆっくり増大するしこりです。触れるとやわらかく、可動性があるのが特徴です。
脂肪腫に関する
自覚症状がある方
- 直径数mm~数十cmのやわらかいドーム状(または楕円)の盛り上がり・しこりがある
- 触るとやわらかく指でずらすと動く(可動性がある)。皮膚表面の盛り上がりが目立たない段階でも触知できることがある
- 盛り上がった部分の皮膚色は多くは正常で、黒や青や黄色っぽい変色は通常みられない
- 盛り上がりの中央に黒い点(「ヘソ」)はみられない
- 黒い点がないため圧迫しても白い内容物が出てくることはない(押し出す構造ではない)
- まれに周囲が圧迫されて痛むことがあるが、赤く腫れて強い痛みがある場合は別疾患や感染などの可能性がある
上記のような、しこりが急に大きくなる、硬くなる、痛む、赤く腫れる、色が変わるなどの異常が見られた場合には、脂肪腫以外の病変(軟部肉腫など)や合併症の可能性があるため、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。また、自己判断で針で刺したり、揉みつぶしたり、内容物を出そうとしたりすると出血や感染、瘢痕の原因となるため、絶対にしないようにしてください。また、ニキビとは別物です。
脂肪腫はなぜ出来るのか

脂肪腫は、皮膚の下(ときに筋膜下・筋内)にできる脂肪細胞の増殖による良性腫瘍です。悪性ではなく、がんではありません。時間の経過とともにゆっくり大きくなり、数mmから数十cmの半球状~楕円形のしこりとして触れます。触るとやわらかく弾力があり、皮膚に対してよく動く(可動性がある)のが典型です。中央の黒点(開口部)は通常みられず、強く圧迫しても内容物が出てくる構造ではありません。
脂肪腫の原因は、まだ完全には解明されていませんが、遺伝的素因(家族性多発性脂肪腫症など)、軽微な外傷や慢性的な摩擦、加齢に伴う脂肪組織の変化などが関与すると考えられています。身体のどこにでも生じる可能性がありますが、体幹(背中・腹部)や肩・上腕、太もも、首などにできやすい傾向があります。まずは些細なことでも形成外科での受診することを心がけてください。
脂肪腫とは
脂肪腫(しぼうしゅ)は、皮膚の下(ときに筋膜下・筋内)に生じる脂肪細胞の良性増殖による“しこり”です。悪性ではなく、がんではありません。時間の経過とともにゆっくり大きくなり、やわらかく弾力があって指でずらすと動く(可動性)のが典型です。大部分は一般的な「脂肪腫」に分類されますが、袋状構造ではないため、圧迫しても内容物が排出されることはありません。
脂肪腫は身体のどこにでも生じる可能性があり、体幹(背中・腹部)・肩・上腕・太もも・首に多くみられます。まれに筋膜下・筋内に発生する深在型もあり、この場合はやや硬く触れたり、可動性が乏しく感じられることがあります。手のひらや足の裏にも生じうる一方で、粉瘤のような開口(黒い点)はみられません。
一部の方が「太ったから増えた」「不潔にしているとできる」と誤解されますが、生活習慣や清潔度との直接的な関連はありません。発生の詳細なメカニズムは完全には解明されておらず、体質・遺伝(家族性多発性脂肪腫症)、軽微な外傷や慢性的な機械的刺激などが関与すると考えられています。
脂肪腫のバリエーションとして、血管脂肪腫(アンジオリポーマ:押すと痛みやすい)、線維脂肪腫(フィブロリポーマ)、紡錘細胞脂肪腫(後頸部~肩に多い中高年男性にみられやすい)、筋内脂肪腫(深部で可動性が乏しい)などがあります。これらはいずれも脂肪腫の一群です。※まれに「褐色脂肪腫(ヒベルノーマ)」など別系統の脂肪性腫瘍もありますが、いずれも良性です。
また、小児では脂肪芽腫(リポブラストーマ)という乳幼児に多い良性の脂肪性腫瘍がみられることがあります。一般的な脂肪腫よりも成長が速く見えることがあり、専門医による評価が推奨されます。
脂肪腫ができやすい人の特徴
脂肪腫は、皮下の脂肪細胞が局所的に増えることで生じる良性腫瘍で、原因はまだ完全には解明されていません。生活の清潔度や皮脂分泌、ニキビ体質との直接的な関連は基本的にありません。できやすい傾向としては、家族に脂肪腫が多い(家族性多発性脂肪腫症などの遺伝的素因)、30~60代、男性にやや多い、体幹・肩・背中・首など機械的刺激を受けやすい部位、軽微な外傷の後に気づかれることなどが挙げられます。肥満は直接の原因ではありませんが、しこりが触知されやすくなることがあります。また、希ですが多発性対称性脂肪腫症や痛みを伴う脂肪腫(Dercum病)など体質・代謝に関連する病態が関与することもあります。これらの要因が重なると発生頻度が高まる可能性があり、しこりが急に大きくなる・硬い・動きにくい・痛むなどの変化がある場合は、早めに形成外科で評価を受けることが重要です。
脂肪腫の初期症状
脂肪腫は初期段階では皮下にできる小さなしこりとして気づかれることが多く、触れるとやわらかく、指でずらすと動く(可動性がある)のが特徴です。痛みはほとんどなく、皮膚表面の赤みや腫れ、熱感は通常みられません。皮膚色は保たれ、中央の黒い点(開口部)はありません。発生部位は体幹(背中・腹部)や肩・上腕、太もも、首などに多く、月~年単位でゆっくりと大きくなることがありますが、初期は不快感が乏しく放置されがちです。
初期の脂肪腫は、粉瘤など他のしこりと区別がつきにくい場合があります。急に大きくなる、5cmを超える、硬い・動きにくい、痛みやしびれがあるといった変化があれば早期に専門医の診断を受けてください。早期評価は、適切な治療時期の見極めや目立ちにくい切開線の計画にも有用です。
脂肪腫を自分で潰すとどうなるか
脂肪腫は、皮下の脂肪細胞が増えてできる良性腫瘍で、粉瘤のように内容物を押し出せる袋状構造ではありません。そのため、針で刺す・強く圧迫する・刃物で切るなどの自己処置は厳禁です。無理に潰そうとしても中身は出ず、周囲組織を損傷し、炎症や壊死を招くおそれがあります。
自己処置を行うと、出血・感染、血腫(血の溜まった腫れ)、蜂窩織炎などを起こす危険があります。皮膚の瘢痕化(キズあとが残る)や色素沈着を生じやすく、後の手術が難しくなる/切開線が大きくなる原因になります。神経や血管を傷つけ、しびれ・痛みが残ることがあります。まれに脂肪腫ではなく別疾患(例:軟部肉腫)が紛れていることがあり、自己判断での処置は診断遅れにつながります。
脂肪腫の根治は、被膜ごと摘出する外科的切除が基本です(多くは局所麻酔・日帰り)。自己処理や吸引のみでは被膜が残り、再発リスクが高まります。早めに形成外科などの専門医を受診しましょう。
脂肪腫を放置するとどうなるか
脂肪腫は粉瘤と異なり袋状構造や内容物の排出がないため、潰れて膿や臭いの分泌物が出る「破裂」は基本的に起こりません。いっぽうで、時間とともにゆっくり増大し、サイズが大きくなると周囲組織(神経・血管・筋膜)を圧迫して、痛み・しびれ・重だるさ・可動域の制限などの症状を生じることがあります。部位によっては衣類やリュックのベルトで摩擦・圧迫を受け、表面の赤みや違和感が出ることもあります(感染は稀)。
放置により腫瘍が大きく・深くなるほど、手術の切開線が長くなる/剥離が広くなる/術後の血腫・漿液腫リスクが上がるなど、治療は相対的に複雑になります。筋膜下・筋内へ及ぶ深在型は麻酔法や入院の検討が必要になることもあります。また、短期間で急速に増大・硬い/固定感が強い・夜間痛といった所見がある場合、初診時は脂肪腫に見えても脂肪肉腫など他疾患の鑑別が必要です。
脂肪腫を疑うしこりがある場合は、早期に形成外科専門医へ相談してください。5cm超・急速増大・硬い/動かない・痛みやしびれなどの“赤信号”がある際は特に受診を急ぎましょう。早めの評価・適切な時期での切除は、傷跡を小さく・合併症リスクを低く抑えるうえでも有益です。
脂肪腫の匂いについて
脂肪腫は、皮下の脂肪細胞が局所的に増えることでできる良性の腫瘍です。袋状構造や開口部(黒い点)はなく、内容物が外へ出る仕組みもありません。そのため、脂肪腫そのものが悪臭を放つことは基本的にありません。
もし「匂いがする」「しみ出る」「膿っぽいものが付く」といった所見がある場合、脂肪腫ではない別疾患や二次感染を疑います。代表例として、表皮嚢腫(粉瘤)の感染・破裂、膿瘍(皮下の化膿)、化膿性汗腺炎などが挙げられ、これらは細菌増殖や壊死物質により不快な臭いを伴うことがあります。ごく稀に、巨大な脂肪腫で表面が摩擦・圧迫によってびらん・潰瘍化し、その二次感染が匂いの原因になるケースもあります。
脂肪腫が疑われるしこりであっても、悪臭・排出物・発赤・熱感・痛み・発熱のいずれかがあれば、早急に医療機関を受診してください。自己処置(潰す・刺す・しぼる)は感染や瘢痕、治癒遅延の原因になります。脂肪腫であれば計画的な被膜ごとの摘出(多くは局所麻酔・日帰り)を、感染性疾患であれば切開排膿・抗菌薬等の適切な治療を行います。
脂肪腫手術の治療法
脂肪腫は良性腫瘍であり、必ずしも手術が必要というわけではありません。ただし自然消失はまれで、時間とともに増大して衣類でこすれる・見た目が気になる・神経や血管を圧迫して痛みやしびれを生じることがあります。こうした症状や短期間での増大・5cm超・硬い/動きにくいなどの所見がある場合は切除を検討します。小さいうちの処置は切開線が短く、手術時間も短くなるため、整容面・安全面で有利です。
手術で取り除く場合は、被膜(カプセル)を含めて一塊で摘出することがポイントです。被膜が残ると再発の原因になります。標準的には局所麻酔・日帰りで、皮膚割線に沿う小切開から鈍的に剥離し、止血・洗浄後に層状縫合を行います。吸引のみや部分摘出は被膜が残りやすく再発率が上がるため、適応は限定的です。摘出標本は病理検査に提出して確定診断を行います。
当院の脂肪腫手術の特徴
当院の院長は、日本形成外科学会専門医・日本創傷外科学会専門医を保有しており、そのもとで形成外科医が脂肪腫の摘出術を担当いたします。整容面(目立ちにくい切開線・丁寧な縫合)と安全性(神経・血管の温存)に配慮した手術を行います。
当院では、体や皮膚への負担を抑える手法で脂肪腫の摘出手術を行っており、多くの症例で局所麻酔・日帰りが可能です。予約枠が空いている場合は当日手術にも対応します(適応は診察・超音波などの評価後)。なお、5cm超・深部(筋膜下/筋内)・急速増大などの症例では、安全性を優先し麻酔方法や入院の可否を個別に検討します。
当院は、年間の手術件数が多く、一般的なクリニックの約10倍に相当する症例を取り扱っております。皮下浅層から深部症例まで、蓄積した経験に基づき、再発予防のため被膜を含めた一塊摘出と術後フォローを徹底しています。
脂肪腫摘出手術の診察の流れ
- 1 保険診療のご予約
- 脂肪腫摘出手術をご希望の方はまずは保険診療でお越しください、当院は当日順番予約を行っております。
24時間WEB受付中!
30秒で予約完了!
- 2 診察
- 肌の状態とご要望を踏まえて、適切な治療方法をご提案します。
- 3 施術
- 医師が丁寧に施術します。※施術部にシールやガーゼで保護を行いますが、洗顔は当日可能です。
24時間WEB受付中!
30秒で予約完了!
脂肪腫摘出手術の費用
部位 | 費用 |
---|---|
露出部の2cm未満の粉瘤 | 5,310~5,910 円 |
露出部の2~4cmの粉瘤 | 11,340 ~11,940 円 |
露出部の4cm以上の粉瘤 | 13,410~14,010円 |
露出部以外の3cm未満の粉瘤 | 4,170~4,780円 |
露出部以外の3~6cmの粉瘤 | 10,020~10,630 円 |
露出部以外の6cm以上の粉瘤 | 12,810~13,420 円 |
※上記の表は、3割負担の方の目安となりますので、1割負担の方は、上記の約3分の1程度になるとお考え下さい。
脂肪腫摘出手術のよくあるご質問
脂肪腫摘出手術は痛いですか?麻酔は何を使いますか。
多くは局所麻酔で行い、麻酔が効けば術中の痛みは最小限です。注射時のチクッとした痛みはありますが、短時間です。術後の痛みは鎮痛薬の内服でコントロールできることがほとんど。深部・大型・多発などは静脈麻酔/全身麻酔を選ぶ場合があります(個別判断)。
脂肪腫摘出手術は日帰りできますか?所要時間・通院回数・仕事や運動の再開時期は?
皮下浅層の小~中型は日帰りが標準です。
手術時間目安: 小型10–30分/中型30–60分(部位・深さで変動)
通院: 創部チェック1回+抜糸7–14日(部位で前後)
入浴・運動: シャワーは翌日~(濡らし方指示に従う)。激しい運動は1–2週間控えめに。デスクワークは多くが**翌日~**可能です。
脂肪腫摘出手術は傷跡は残りますか?目立ちにくくできますか。
皮膚のシワ(皮膚割線)に沿った最小切開と層状縫合・皮内縫合で目立ちにくさを重視します。術後はテーピングを1–3か月継続し、瘢痕の盛り上がりを予防します。ケロイド体質の方は追加ケア(ステロイド外用・シリコンジェル等)をご提案しますが、完全に“跡ゼロ”にはできない点はご理解ください。
脂肪腫摘出手術は再発の可能性はありますか?
被膜(カプセル)を含め一塊で摘出できれば再発は稀です。吸引のみ/部分切除は被膜が残りやすく再発率が上がるため原則推奨しません。術後に再度ふくらむ・硬くなる・痛むなどがあれば早めにご受診ください。
脂肪腫摘出手術は保険は使えますか?費用の目安は?
多くの脂肪腫は健康保険適用です(良性腫瘍摘出術の区分・部位・サイズ、病理検査の有無で点数が変わります)。自己負担額(例:3割負担)は症例により異なるため、診察時に見積りをご提示します。深部・巨大・麻酔方法の変更などで費用が変動する場合があります。
当院では、まず外来の受診をお願いしております。
しっかりと症状・ご要望について医師が診察を行って、治療方法をご提案いたします。
Web、またはお電話にて外来診察の当日順番受付を行ってからお越しください。
また、当院では順番受付を採用しておりますので、ご来院予定の当日にご予約ください。
つかもと形成外科・創傷クリニック
日本形成外科学会専門医・
日本創傷外科学会専門医
院長 塚本金作
脂肪腫摘出手術ページの
記事執筆・監修者

院長
塚本 金作
Kinsaku Tsukamoto