できもの(皮膚腫瘍)とは
体表面にできる「できもの」は、形成外科において最も相談件数の多い疾患の一つです。 医学的には「皮膚腫瘍」と呼ばれ、皮膚の下に袋状の組織ができて老廃物が溜まる「粉瘤(アテローム)」や、脂肪細胞が増殖する「脂肪腫」、傷跡が盛り上がる「ケロイド」など、その種類は多岐にわたります。
これらの多くは良性疾患ですが、部位や種類によっては、衣服の摩擦や圧迫によって細菌感染を起こし、急激な痛みや腫れを伴う「炎症性粉瘤」へと悪化するリスクを常に孕んでいます。また、ご自身で「ニキビだろう」と判断して無理に潰してしまうと、内部で組織が破壊されて癒着し、後の手術が困難になったり、大きな傷跡を残したりすることもあります。
形成外科専門医の視点では、単にできものを取り除くだけでなく、「解剖学的な構造を考慮し、いかに傷跡を最小限に抑えて機能を損なわずに治すか」を重視して診断・治療を行います。
できものを取り除くメリット
形成外科で早期にできものを切除・治療することには、医学的・審美的に以下の大きな意義があります。
炎症・再発リスクの
根本的な排除
粉瘤などのできものは、飲み薬や塗り薬で一時的に症状を抑えることはできても、原因である「袋(囊腫)」が残っている限り、体調不良や刺激をきっかけに必ず再発します。炎症のない安定した時期に根治手術を行うことで、将来的な激痛や化膿といったトラブルを未然に防ぐことができます。
形成外科的縫合による
「目立たない傷跡」
できものができる場所は、顔や首、手足など目立つ部位であることも少なくありません。形成外科専門医は、皮膚の緊張ライン(RSTL)を見極めた切開や、真皮縫合(皮膚の深い層での精密な縫い合わせ)を駆使します。これにより、術後の傷跡を周囲のシワと同化させ、目立たない仕上がりを実現します。
身体への負担が少ない
術式の選択
できものの種類やサイズによっては、わずか数ミリの切開から内容物と袋を抜き出す「へそ抜き法(くり抜き法)」などの低侵襲な術式が選択可能です。従来の大きく切開する方法に比べてダウンタイムが短く、お仕事や日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
精確な組織診断と
悪性疾患の除外
「単なるできもの」だと思っていても、中には石灰化上皮腫や血管腫、あるいは稀に悪性腫瘍(皮膚がん)が隠れているケースがあります。専門医が視診・触診、必要に応じて病理組織検査を行うことで、正確な診断を下し、それぞれの疾患に基づいた最善の処置を行うことが可能です。
できものとおできの違い
「できもの」と「おでき」という言葉は似ていますが、医学的にはその成り立ちや治療の緊急度が異なります。
「できもの」は総称
「できもの」は、皮膚に生じる腫れや盛り上がり全般を指す広い言葉(総称)です。 これまで解説してきた粉瘤、脂肪腫、イボ、ほくろ、さらには悪性腫瘍(皮膚がん)まで、その正体が何であれ、皮膚にできた突起物はすべて「できもの(皮膚腫瘍)」に含まれます。基本的には痛みがないものも多く、ゆっくりと進行するのが特徴です。
「おでき」は急性の細菌感染
一方で「おでき」は、医学的には「癰(よう)」や「癤(せつ)」と呼ばれる、毛穴の奥に細菌が入り込んで起こる急性の化膿性炎症を指します。
特徴
急激に赤く腫れ上がり、ズキズキとした強い痛みを伴います。
状態
内部に膿(うみ)が溜まっており、放っておくと熱を持ったり、破裂して膿が出てきたりします。
粉瘤との関係
粉瘤が細菌感染を起こして「炎症性粉瘤」になった状態も、見た目や症状が「おでき」と酷似しているため、一般的にはおできと呼ばれることが多いです。
判断のポイントと対処法
痛みもなく、
ずっとそこにある場合
「できもの(良性腫瘍など)」の可能性が高いため、時間がある時に形成外科へご相談ください。
急に腫れてきて、
触ると痛い場合
「おでき(感染症)」の可能性が高いです。放置すると炎症が広がり、周囲の組織を壊死させてしまうことがあるため、早急に抗生剤の服用や切開排膿(膿を出す処置)が必要です。
いずれの場合も、ご自身で潰してしまうと細菌を奥に押し込み、症状を悪化させる恐れがあります。「痛いおでき」も「痛くないできもの」も、形成外科専門医が適切な処置を行います。
できものの種類と症状
皮膚のできもの(皮膚腫瘍)には非常に多くの種類があり、見た目が似ていても治療法が全く異なる場合があります。ここでは、当院の形成外科外来で受診される頻度の高い代表的なできものについて解説します。
粉瘤(アテローム)

一般的に「しぼうのかたまり」と呼ばれることがありますが、実は本当の脂肪ではありません。皮膚の下に袋状の組織ができ、そこに本来剥がれ落ちるはずの皮脂や角質といった老廃物が溜まった良性腫瘍(表皮嚢腫)です。 はじめはニキビや小さな硬いしこりのように感じますが、放置すると隆起するほど大きくなり、独特な臭いを放ったり、細菌感染により炎症を引き起こしたりします。手術を行わない限り根治できないのが特徴で、無理に潰すと再発や悪化を招くため、早急な専門的処置が必要です。
脂肪腫(リポーマ)

脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。感触は柔らかく、1cm〜10cmを超えるものまで様々です。粉瘤と異なり臭いはありませんが、大きくなると周囲の神経を圧迫して痛みを伴うことがあります。自然治癒することはありませんが、放置して巨大化してから切除すると傷跡が大きくなるデメリットがあります。目立たない傷で治すためには、小さいうちの手術が重要です。
石灰化上皮腫(毛母腫)
皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性腫瘍です。若年者の顔や腕に多く見られ、触れると「石のように硬い塊」を感じるのが特徴です。基本的には無痛ですが、押すと痛みが出たり、皮膚が薄くなって青黒く見えたりすることもあります。皮膚に穴が開いてしまうケースもあるため、手術による切除をおすすめします。
ほくろ(母斑細胞母斑)
医学的には「母斑細胞母斑」と呼びます。多くは無害ですが、中には皮膚がん(メラノーマ等)と見分けが非常に難しいものがあります。ほくろが急に大きくなった、形がいびつ、出血するといったリスクがある場合は、手術で切除し病理検査を行うことで正確な診断を確定させることが重要です。
イボ(尋常性疣贅・脂漏性角化症など)
皮膚の一部が盛り上がった小さなできものの総称です。
尋常性疣贅
ウイルス感染(HPV)が原因で、小さな傷から感染し増殖します。
老人性イボ(脂漏性角化症)
加齢や紫外線が原因の良性腫瘍で、30代頃から現れ始めます。
首イボ(アクロコルドン)
首や脇にできる軟らかいイボ。服の摩擦で炎症を起こすことがあります。 これらは放置すると数が増えたり大きくなったりするため、綺麗に治すには早めの相談が有効です。
皮膚線維腫
成人女性の脚や腕によく見られる、硬く盛り上がった腫瘍です。虫刺されや小さな外傷をきっかけに発生することがあります。稀に「隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)」という悪性腫瘍との鑑別が必要になるため、増大傾向にある場合は顕微鏡による精密な病理検査を行います。
外骨腫
骨の表面にできる良性腫瘍で、額や頭に硬い盛り上がりとして現れます。痛みはありませんが、見た目が気になる(整容面)ため切除を希望される方が多い疾患です。骨の腫瘍ですが、局所麻酔による日帰り手術が可能で、形成外科的縫合により傷跡も最小限に抑えられます。
ガングリオン
関節包の中から潤滑油(滑液)が漏れ出し、ゼリー状の物質が詰まった袋状の腫瘍です。主に手首や指の付け根にできます。注射器で中身を抜く保存療法もありますが、再発を繰り返す場合は外科的な摘出が検討されます。
神経線維腫・神経鞘腫
末梢神経から発生する良性腫瘍です。
神経線維腫
柔らかく少し赤いしこりで、多発する場合は全身疾患の精査が必要です。
神経鞘腫
圧迫すると痛みや響く感覚が生じることがあります。神経に触れる繊細な処置が必要なため、専門医による慎重な治療が求められます。
母斑(脂腺母斑・表皮母斑)
生まれつき存在する「あざ」の一種です。
脂腺母斑
頭部に多く、思春期に盛り上がってきます。将来的に悪性化するリスクがあるため、予防的な切除が考慮されます。
表皮母斑
皮膚が過剰に厚くなったあざで、成長とともに範囲が広がります。レーザーや手術を組み合わせて治療します。
できものができやすい
部位と特徴
皮膚のできものは全身どこにでも発生しますが、部位によってできやすい疾患の種類や、
治療の際に配慮すべきポイントが異なります。
顔・首のできもの
顔や首は「粉瘤」のほか、加齢による「脂漏性角化症(老人性イボ)」、ウイルス性の「イボ」がよく見られる部位です。 これらは視線が集まりやすいため、形成外科では「傷跡をいかにシワと同化させて目立たなくするか」を最優先に治療を行います。また、目や口の周りなどは、機能に影響が出ないよう、皮膚のゆとりを計算した精密な手術が必要です。
脇(わき)のできもの
脇は汗腺が発達しており、蒸れやすいため、粉瘤が炎症を起こしやすい(炎症性粉瘤)部位です。また、脇特有の疾患として、生理周期に合わせて腫れる「副乳(ふくにゅう)」や、炎症を繰り返す「化膿性汗腺炎」、さらにはリンパ節の腫れなども考えられます。
背中・肩のできもの
背中や肩は、体の中でも「粉瘤」や「脂肪腫」が特に大きく育ちやすい部位です。 自分では見えにくいため、気づいた時には数センチ以上に巨大化していることも少なくありません。脂肪腫は筋肉の層まで及んでいることもあるため、超音波検査などで深さを確認した上で、安全に摘出を行います。
耳(耳たぶ・耳の裏)のできもの
耳たぶには粉瘤ができやすく、特にピアスを開けている方は、傷跡が盛り上がる「ケロイド」のリスクもあります。 耳は複雑な軟骨の構造があるため、形を崩さないように慎重な処置が求められます。耳の裏のしこりは、稀に耳下腺(唾液を作る組織)の腫瘍である可能性もあるため、専門医による鑑別が重要です。
手足・指のできもの
手足には、関節付近にできるゼリー状のしこり「ガングリオン」や、ウイルス性の「イボ」、硬く盛り上がる「皮膚線維腫」などが多く見られます。 指先などは神経や血管が密集しているため、痛みが出やすく、繊細な手技が求められます。また、足の裏のできものは「魚の目」と勘違いされやすいですが、ウイルス性イボの場合は削ると悪化するため、正確な診断が必要です。
頭皮のできもの
頭皮は自分では確認しづらく、散髪時や洗髪時に気づくことが多い部位です。 最も多いのは「外毛根鞘性嚢腫(がいもうこんしょうせいのうしゅ)」という粉瘤の一種で、他の部位の粉瘤よりも壁が厚く、ゴロゴロとした硬いしこりになるのが特徴です。また、生まれつきのあざである「脂腺母斑(しせんぼはん)」が成長とともに盛り上がってきたり、血管腫やイボができたりすることもあります。 頭皮は血流が非常に豊富なため、ご自身で傷つけると出血しやすく、また腫瘍によって脱毛(毛が抜ける)が生じることもあるため、早めの摘出が望ましい部位です。
足の裏のできもの
足の裏のできものは、歩行時の痛みや違和感の原因となります。 多くの場合、ウイルス感染による「尋常性疣贅(ウイルス性イボ)」ですが、見た目が「魚の目」や「タコ」と非常に似ているため注意が必要です。これらを間違えて市販のスピール膏などで自己処置したり、カッターで削ったりすると、ウイルスを周囲に広げて悪化させる恐れがあります。 また、稀に悪性黒色腫(メラノーマ)などの重大な病変が隠れていることもあるため、体重がかかって痛む場合や、色が濃くなってきた場合は、形成外科専門医による正確な診断が不可欠です。
できものの原因
皮膚のできものが発生する原因は、その種類によって多岐にわたりますが、大きく分けて「構造上の問題」「体質・遺伝」「外部からの刺激」の3つに集約されます。
皮膚構造の異常や老廃物の蓄積
最も多い原因の一つが、皮膚の構造そのものに何らかのトラブルが生じるケースです。 例えば「粉瘤(アテローム)」は、本来は皮膚の表面で剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が、何らかのきっかけで皮膚の内側へ入り込んで袋(嚢腫)を形成し、そこに老廃物が溜まることで発生します。これは「不潔にしているからできる」というわけではなく、毛穴の詰まりや微細な外傷など、構造的なエラーが主な原因です。
外部刺激や摩擦
日常生活の中での物理的な刺激も大きな原因となります。
摩擦
首や脇などにできる「アクロコルドン(首イボ)」などは、衣類やアクセサリーとの摩擦、あるいは皮膚同士のこすれが刺激となり、皮膚が過剰に増殖することで発生します。
外傷
虫刺されや小さな傷跡が、過剰な修復反応を引き起こし、「皮膚線維腫」や「ケロイド」へと発展することもあります。
ウイルス感染
「イボ(尋常性疣贅)」などは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが原因です。皮膚にあるごく小さな傷口からウイルスが入り込み、皮膚の細胞に感染して増殖させることで、盛り上がったできものを形成します。これは自己増殖するだけでなく、他部位や他人に移る可能性があるため注意が必要です。
紫外線によるダメージと加齢
長年の紫外線によるダメージは、皮膚の細胞の遺伝子に影響を与えます。 「老人性イボ(脂漏性角化症)」や、さらには「日光角化症」といった前がん病変、そして「皮膚がん」の多くは、この紫外線によるダメージの蓄積が主な原因とされています。特に顔や手の甲など、日光が当たりやすい部位のできものは、加齢による生理的な変化だけでなく、光老化の影響を強く受けています。
遺伝的背景と先天的な要因
生まれつきの「あざ(母斑)」や、特定の腫瘍ができやすい体質などは、遺伝的な要因が関与している場合があります。 例えば「脂腺母斑」や「表皮母斑」などは、出生時あるいは乳幼児期から存在し、成長ホルモンの影響などで思春期以降に目立ってくることが一般的です。これらは予防的な観点から、適切な時期に治療を行うことが推奨されます。
良性と悪性のできものの
判断は形成外科専門医へ
皮膚のできものの多くは良性ですが、中には「皮膚がん」をはじめとする悪性腫瘍が隠れているケースがあります。これらは初期段階では痛みや痒みがほとんどなく、一見すると「ただのほくろ」や「ただのイボ」のように見えるため、ご自身で判断することは極めて困難です。
形成外科専門医は、肉眼での診察に加え、ダーモスコピー(特殊な拡大鏡)を用いた詳細な観察、さらには必要に応じて組織を一部採取して調べる「病理検査」を行い、そのできものが良性か悪性かを医学的根拠に基づいて正確に診断します。
悪性のできものを放置すると
もし悪性のできものを「ただのデキモノ」だと思って放置してしまった場合、以下のような深刻なリスクが生じます。
浸潤(しんじゅん)
悪性腫瘍は良性腫瘍と異なり、周囲の正常な組織を破壊しながら根を張るように広がっていきます(浸潤)。放置すればするほど切除範囲が広くなり、術後に大きな組織欠損が生じたり、顔などでは変形を免れなくなったりすることがあります。
他臓器への転移
皮膚がんは進行すると、リンパの流れや血流に乗って、首のリンパ節や肺、肝臓などの他臓器へ転移する可能性があります。転移が起こると、皮膚の切除だけでは完治が難しくなり、抗がん剤治療や放射線治療などの全身療法が必要となります。
予後(経過)への影響
早期発見・早期治療ができれば、皮膚がんは外科的な切除のみで完治を目指せる可能性が高い疾患です。しかし、放置して進行させてしまうと、救える命も救えなくなるリスクが高まります。「形が左右非対称」「境界がぼやけている」「色が急に濃くなった」「出血しやすい」といった変化は、体が発している危険信号かもしれません。
形成外科で診断を受ける意義
私たちは「ただ切る」のではなく、もし悪性が疑われる場合には、その後の治療までを見据えた精微な診断を行います。また、良性であっても「将来的に悪性化する可能性があるもの(前がん病変)」については、予防的な切除を提案することもあります。
「このできもの、放っておいても大丈夫かな?」と少しでも不安に思われたら、手遅れになる前に、皮膚の構造を知り尽くした形成外科専門医へご相談ください。
できものの受診の目安
「痛みがないから大丈夫」と思わず、以下のようなサインがあれば、
お早めに形成外科・皮膚科を受診してください。
急激に「大きく」なってきた
数週間から数ヶ月の間に、明らかにサイズが大きくなった場合は注意が必要です。粉瘤(アテローム)が内部で老廃物を溜め込んでいるだけでなく、稀に悪性腫瘍(皮膚がん)が急速に増殖している可能性もあります。成長スピードが速いものは、皮膚が引き伸ばされて薄くなる前に処置するのがベストです。
「痛み・赤み・熱感」が出てきた
できものやその周囲が赤く腫れ、ズキズキと痛むのは、細菌感染による急性炎症のサインです。この状態(炎症性粉瘤など)になると、麻酔が効きにくく、治療の負担が増してしまいます。膿が溜まって自壊(自然に破裂)すると大きな傷跡が残るため、炎症を感じたらすぐに受診してください。
形や色に「違和感」がある
特に「ほくろ」だと思っていたものが、以下のような変化を見せた場合は悪性の可能性を考慮する必要があります。
境界がぼやけている
急に濃くなった
直径が6mmを超えてきた これらは皮膚がんの一種である「メラノーマ(悪性黒色腫)」などの特徴でもあります。
出血する、じくじくして
「治らない」
できものの表面が崩れて潰瘍(かいよう)になったり、少し触れただけで出血したりする場合、あるいは市販薬を塗っても2週間以上治らない場合は、良性腫瘍ではありません。特に高齢の方の顔や手の甲などにできる「治りにくい傷」のようなできものは、基底細胞がんなどのリスクを疑い、精査する必要があります。
「生活に支障」を感じる
「痛くはないけれど、着替えの時に引っかかる」「座ると当たって違和感がある」「顔にあるので鏡を見るたびにストレスを感じる」といった状態は、立派な受診の目安です。形成外科は「見た目の悩み」を解決する専門外来でもあります。不安を抱えたまま過ごすより、一度診察を受けて「正体」を知るだけでも、大きな安心に繋がります。
できものは予防できるのか?
結論から申し上げますと、皮膚のできものには「生活習慣で予防できるもの」と、体質や遺伝が原因で「完全な予防が難しいもの」があります。しかし、どのできものにおいても、「早期発見」と「悪化の防止」はご自身でコントロールすることが可能です。
紫外線対策による予防
「老人性イボ(脂漏性角化症)」や、将来的に皮膚がんの原因となる「日光角化症」などは、長年の紫外線ダメージの蓄積が主な原因です。 これらは、日頃から日焼け止めを使用する、帽子や日傘を活用するといった徹底したUVケアによって、発生リスクを大幅に下げることができます。特に顔や手の甲など、日光が当たりやすい部位のケアは、新しいできものを作らせないために最も有効な手段です。
摩擦や刺激の軽減による予防
首や脇、鼠径部(足の付け根)などにできる「軟性線維腫(首イボなど)」は、皮膚同士の摩擦や、衣類・アクセサリーによる刺激が引き金となります。
サイズの合った下着や
服を選ぶ
首元のきついネックレスや
タートルネックを控える
保湿を徹底し、皮膚のバリア機能を高めて摩擦を軽減する これらの工夫により、イボの増殖や炎症を抑えることが期待できます。
ウイルス感染の拡大予防
「イボ(尋常性疣贅)」や「水イボ」はウイルス性のため、予防と拡大防止が可能です。 皮膚に小さな傷があるとそこからウイルスが侵入しやすいため、肌の乾燥を防ぎ、湿疹などは早めに治療して健康な肌バリアを維持することが大切です。また、イボを見つけた際に自分でいじったり削ったりすると、周囲にウイルスを広げてしまうため、早めに専門医で治療を受けることが最大の予防策となります。
粉瘤(アテローム)などの
再発・悪化予防
残念ながら、粉瘤や脂肪腫などは体質的な要因が強く、発生そのものを完全に予知・予防する医学的な方法は現在のところ確立されていません。 しかし、「炎症(化膿)させないための予防」は可能です。
自分で強く押したり
潰そうとしない
(袋が破裂して激しい炎症を
起こすため)
不潔な手で触らない
しこりが小さく、痛みがないうちに形成外科で摘出する 「大きくなる前に取る」ことは、将来的な手術の傷跡を最小限に抑えるという意味で、最も効果的なセルフマネジメントと言えます。
まとめ:専門医が推奨する
「予防」の考え方
「できものを作らないこと」と同じくらい大切なのが、「できものを悪化させないこと」です。
日々のスキンチェック
お風呂上がりなどに、新しいしこりや色の変化がないか確認する。
触らない・潰さない
気になっても自己処置は厳禁です。
早めの相談
「おかしいな」と思ったら、小さいうちに形成外科専門医の診断を受ける。
これらを意識することで、もしできものができても、最小限の負担で美しい肌を保つことができます。
できものの治療方法
外科的摘出手術(根治治療)
「粉瘤や脂肪腫など、自然に消えることがない良性腫瘍に対して行われる最も標準的な治療です。
粉瘤(アテローム)などの
切除縫合法
できものの形に合わせて皮膚を紡錘形に切開し、腫瘍を完全に摘出した後、形成外科特有の「真皮縫合」を用いて細かく縫い合わせます。これにより、術後の傷跡を一本の細い線のように目立たなくさせます。
へそ抜き法(くり抜き法)
粉瘤に対して行われる低侵襲な術式です。特殊な器具(ディスポーザブルパンチ)で小さな穴を開け、そこから内容物と袋を抜き出します。切開範囲が非常に小さいため、術後のダウンタイムが短く、体への負担が少ないのがメリットです。
炎症に対する緊急処置(切開排膿)
炎症性粉瘤など、細菌感染を起こして膿が溜まっている場合には、いきなり摘出手術を行うことはできません。 まずは局所麻酔下で皮膚を数ミリ切開し、内部の膿を排出する「切開排膿」を行います。これにより痛みを即座に緩和させ、感染の拡大を防ぎます。炎症が完全に鎮静化した後(通常2〜3ヶ月後)に、残った袋を摘出する根治手術を改めて検討します。
液体窒素による冷凍凝固療法
主にウイルス性のイボ(尋常性疣贅)や、老人性イボ(脂漏性角化症)に対して行われます。マイナス196度の液体窒素を用いてできものの細胞を凍結・壊死させ、新しい皮膚への再生を促します。メスを使わないため出血が少なく、短時間での処置が可能です。
ステロイド局所注射
ケロイドや肥厚性瘢痕など、外科的な切除だけでは再発のリスクが高い疾患に用いられます。しこりの中に直接ステロイド薬を注入することで、過剰な炎症や組織の増殖を抑え、盛り上がりや赤み、痒みを平坦化させていきます。
薬物療法(保存的治療)
ニキビ(尋常性痤瘡)や、炎症の初期段階のできものに対しては、抗生剤や消炎剤の内服・外用薬を処方します。 また、手術後の傷跡をより綺麗にするために、専用の保護テープによる固定(テーピング療法)や、保湿・遮光ケアの指導といったアフターケアにも力を入れています。
病理組織検査(診断の確定)
摘出したできものは、必要に応じて病理専門医による「病理組織検査」に提出します。顕微鏡レベルで細胞の性質を調べることで、良性・悪性の最終的な確定診断を行い、その後の経過観察や追加治療の必要性を正確に判断します。
悪性腫瘍(皮膚がん)に対する治療
悪性のできものと診断された場合、良性腫瘍とは異なった厳密な治療戦略が必要となります。
広範囲切除術
悪性腫瘍は目に見える範囲を越えて周囲に浸潤(根を張る)している可能性があるため、腫瘍の縁から一定の距離(安全域)を置いて、周囲の組織を含めて大きく切除します。これにより、再発のリスクを最小限に抑えます。
再建手術(機能と見た目の修復)
広範囲に切除した結果、皮膚が足りなくなって傷を閉じられない場合や、顔などの目立つ部位で変形が予想される場合には、「皮弁(ひべん)」や「植皮(しょくひ)」という技術を用います。
皮弁
近くの皮膚を血流を保ったまま移動させて覆う方法。質感や色が似ており、自然に仕上がります。
植皮
他の目立たない部位から皮膚を採取して移植する方法。
センチネルリンパ節生検
腫瘍の種類や進行度に応じて、がん細胞が最初に転移しやすいリンパ節を特定して検査し、転移の有無を確認します(高度医療機関との連携)。
集学的治療(連携治療)
外科的な切除だけでなく、腫瘍の性質に合わせて抗がん剤治療(化学療法)や放射線治療などを組み合わせる場合があります。当院で診断を行い、必要に応じて大学病院やがんセンターなどの高度専門医療機関と緊密に連携して治療を進めてまいります。
できものは何科を受診するべきか
皮膚のできものや異常を感じた際、「形成外科」と「皮膚科」のどちらに行くべきか迷われるかもしれません。
結論として、形成外科は皮膚表面のトラブル(ニキビ、湿疹、炎症)に対する薬物療法から、できものの外科的摘出、さらには術後の傷跡をきれいに治す再建まで、皮膚に関するお悩みを総合的にカバーする診療科です。
特に、できものを「診断する」だけでなく、「跡を残さず根本から治したい」という場合には、形成外科の受診が非常に適しています。
形成外科専門医を受診するメリット
薬物療法から手術まで
一貫した治療
形成外科では、ニキビや毛嚢炎、軽度の炎症に対して抗生剤や外用薬(塗り薬)を用いた薬物療法を積極的に行います。「まずは薬で様子を見たい」というご希望にも対応可能です。一方で、薬だけでは治らない良性腫瘍(粉瘤や脂肪腫)に対しては、その場ですぐに手術計画を立てられるため、何度も別の病院を回る必要がありません。
「切る」専門家としての
高度な縫合技術
形成外科は、体表面の形態を美しく整える「外科」のスペシャリストです。できものを切除した後の傷跡を、単に「閉じる」のではなく、皮膚の緊張ラインに沿って微細な糸で縫い合わせることで、数ヶ月後にはシワと同化して目立たなくなるように仕上げます。顔や首など、露出部の治療においてこの技術は大きな差となります。
炎症や悪化への
迅速な対応
「できものが腫れて痛い」という急性期の炎症(炎症性粉瘤など)に対しても、形成外科では速やかに「切開排膿(膿を出す処置)」を行い、即座に痛みを取り除くことができます。薬による消炎と、外科的な処置を状況に合わせて柔軟に組み合わせられるのが強みです。
精確な組織診断
(悪性の見極め)
見た目にはただのできものであっても、形成外科専門医は皮膚がん(悪性腫瘍)の可能性を常に念頭に置いて診察します。ダーモスコピーによる詳細な観察を行い、必要であれば切除した組織を病理検査に提出して、良性・悪性の最終判定を行います。
での対応
当院では、日本形成外科学会専門医である院長が、お一人おひとりの「できもの」の状態を丁寧に診察します。 「薬で治るのか、手術が必要なのか」という適切な判断はもちろん、患者様のご要望に合わせた「最も負担が少なく、きれいに治る方法」をご提案します。垂水駅すぐの立地にあり、神戸や明石からもアクセスしやすいため、どのような皮膚のトラブルでもお気軽にご相談ください。
できものの治療の流れ

- 1 保険診察
- 注意点や施術内容についてスタッフよりご説明いたします。
その後、形成外科医ができものの状態を確認し、症状に応じた適切な治療方法をご提案いたします。

- 2 施術
- 医師が症状に応じて適切な治療・手術を行います。
治療内容によっては、手術日をあらためてご予約いただく場合がございます。

- 3 アフターケア
- 施術後は、必要に応じてご自宅でのケア方法を丁寧にご説明いたします。
経過観察も行い、安心して治療を受けていただけるようサポートいたします。
できものの
よくあるご質問
皮膚のできもの(皮膚腫瘍)に関して、診察室で患者様から頻繁にいただくご質問をまとめました。
不安の解消や受診の判断材料としてお役立てください。形成外科専門医の観点から詳しくお答えします。
できものは、自分で潰しても
いいですか?
絶対に避けてください。無理に潰すと、皮膚の内部で袋(嚢腫)が破裂し、中身が周囲に漏れ出すことで激しい炎症や化膿を引き起こします。また、無理な圧迫は組織を傷つけ、深い傷跡を残したり、後の摘出手術が困難になったりするため、専門医による適切な処置が必要です。
できものは、自然に治る・
消えることはありますか?
粉瘤(アテローム)や脂肪腫などの良性腫瘍の場合、自然に消えることはありません。一時的に中身が出て小さくなることはあっても、原因となる「袋」や「腫瘍組織」が残っている限り必ず再発します。放置すると徐々に大きくなる傾向があるため、小さいうちの摘出が推奨されます。
できものは、癌(がん)などの悪性腫瘍の可能性はありますか?
皮膚のできものの多くは良性ですが、中には悪性腫瘍(皮膚がん)が隠れている場合があります。特に、急に大きくなる、形が歪、色がムラになっている、出血を伴う、といった症状がある場合は注意が必要です。当院では必要に応じて病理検査を行い、正確な診断を確定させます。
できものは、何科を受診するのが正解ですか?
形成外科または皮膚科を受診してください。形成外科は皮膚表面の薬物療法から、外科的な摘出手術、そして術後の傷跡をきれいに治す再建までを総合的に行う診療科です。「跡を極力残したくない」「根本的に治したい」という方は、形成外科の受診をお勧めします。
できものは、ピアスや服の摩擦が原因でできますか?
はい、物理的な刺激が原因になることは多々あります。ピアスのトラブルによるケロイドや、衣類の摩擦による軟性線維腫(イボ)、あるいは小さな傷跡からできる皮膚線維腫などが代表例です。刺激の原因を取り除くとともに、適切な治療を行うことが大切です。
できものは、痛みがない場合でも手術が必要ですか?
痛みがない時期(非炎症期)こそ、手術に最適なタイミングです。痛みが出てからでは炎症によって周囲の組織と癒着し、手術の範囲が広がったり傷跡が残りやすくなったりします。無痛のうちに最小限の切開で取り除くことが、審美的にも医学的にもメリットが大きいです。
できものは、手術をすると入院が必要ですか?
当院で扱う皮膚のできものの多くは、局所麻酔による「日帰り手術」が可能です。手術時間はサイズや部位によりますが、15分〜30分程度で終了します。入院の必要はなく、日常生活への影響を最小限に抑えながら治療を受けていただけます。
できものは、保険適用で治療できますか?
粉瘤、脂肪腫、石灰化上皮腫、ほくろ、ケロイドなど、医学的に診断がつくできものの摘出手術は、基本的に保険適用となります。美容目的の自由診療とは異なり、国が定めた診療報酬(3割負担など)に基づいた費用で治療を受けることができます。
できものは、子供にも
できることがありますか?
はい、お子様にも特有のできものが見られます。代表的なものに「石灰化上皮腫」があり、触ると石のように硬いのが特徴です。また、ウイルス性の「水イボ」なども子供に多く見られます。成長に伴って大きくなることもあるため、早めの相談をお勧めします。
できものは、手術後に再発することはありますか?
形成外科的な精密な手術で、原因となる袋や腫瘍組織を完全に摘出できれば、同じ場所に再発する可能性は極めて低いです。ただし、体質的に別の場所に新しくできものができる可能性や、ケロイドのように術後の継続的なアフターケアが再発防止に不可欠な疾患もあります。
できものページの監修者情報
院長
塚本 金作
Kinsaku Tsukamoto
できものが気になる方へ:
当院のアクセス
神戸市内・明石市・加古川市・淡路島・徳島方面からの当院へのアクセスをご紹介させていただきます。
当院はJR「垂水駅」・山陽電鉄「山陽垂水駅」から徒歩3分、垂水区役所のすぐ北側という非常に利便性の高い場所に位置しております。神戸市内各区はもちろん、明石・加古川方面、さらには淡路島や徳島県からも多くの患者様にご来院いただいております。
神戸市内(垂水区・須磨区・
西区・長田区・北区など)から
電車でお越しの方
JR神戸線・山陽電鉄を利用し「垂水駅」下車。須磨・長田・三宮方面からも乗り換えなしでスムーズにアクセス可能です。
バスでお越しの方
垂水駅は各方面からのバス路線が充実しており、垂水区内・西区(学園都市方面)からも快適にご来院いただけます。
お車でお越しの方
第二神明道路「高丸IC」または「名谷IC」より約10分。クリニック近隣にはコインパーキングが多数ございます。
明石・加古川・姫路方面から
JR神戸線
「明石駅」から新快速・快速を利用して約5分、「加古川駅」からも約20分と、県西部からも短時間でアクセスいただけます。
山陽電鉄
沿線にお住まいの方は、山陽垂水駅直結の利便性を活かして、お買い物やお仕事帰りにお立ち寄りいただけます。
茨木市内から
国道171号線を西へ直進するルートが分かりやすく、お車でのご来院がスムーズです。公共交通機関をご利用の場合は、JR茨木駅や阪急茨木市駅から運行されている「「箕面萱野駅(キューズモール前)」行きの路線バスが便利です。
淡路島・徳島方面から
高速舞子バス停を経由したアクセスが
非常に便利です。
高速バスでお越しの方
淡路島内や徳島市内からの高速バスで「高速舞子」バス停下車。JRまたは山陽電鉄に乗り換え、一駅(約2分)で垂水駅に到着いたします。
お車でお越しの方
神戸淡路鳴門自動車道「垂水IC」より南へ約10分。淡路島・四国方面からも日帰りでシミ取り治療やカウンセリングに通っていただけます。
当院の所在地